■女子高生レポート 夕子の白い胸■監督:近藤幸彦■製作:伊藤亮爾、奥村幸士■脚本:中野顕彰■撮影:山崎善弘■音楽:坂田晃一■出演:片桐夕子、山岸恵美子、高見ユキ、森田蘭子、里見洸治、高橋明 他片桐夕子が片桐夕子として鮮烈に登場した作品です。つまり芸名とヒロインの名前が同じという、これ以上は無い破格のデビューだったわけですが、それも彼女がこれ以前に五月由美として、日活末期の数本の作品にちょい役で出ていたという、いわば日活はえぬきの女優だからというのは、穿ち過ぎでしょうか……。物語は高校のバレー部の合宿を行った山で遭難した片桐夕子が、その時に救出してくれた体育教師の石田=里見洸治に恋心を抱きますが……、という発端から、彼女のセックスへの好奇心を汚れた現実のドロドロした部分を交えて、青春ジュニア小説風に描いています。その中では友人のパーティでのレズ、乱交パーティ、女としての醜悪さを露呈する乱れた姉の存在等々という見せ場が、時にはソフトフォーカスを用いて撮られています。また泥鰌を使った我慢比べという趣向も用意されています。そしてクライマックスでは、あこがれの教師がいるマンションのエレベーターの中で、3人の男にレイプされる片桐夕子! という強烈な演出から、哀しい余韻を持ったラスト・シーンまで、少しばかりアイドル映画的な要素も感じられる仕上がりになっています。実際、彼女の初々しい魅力は絶大で、この作品で彼女の人気は爆発、後々までロマンポルノのエースとして息の長い活動を展開しました。その魅力は和風の面立ちに豊満な肉体で、その柔らかそうな巨乳は素晴らしく、また演技にも独特の愁いが滲む瞬間にグッときますが、それは追々書いていくこととして、簡単なプロフィールはここをご覧下さい。演出の近藤幸彦監督はこれがデビュー作で、ロマンポルノ路線では新人監督第1号でした。その経歴では昭和47年に撮った田中真理主演の「愛のぬくもり」が、猥褻映画として当局に摘発・起訴された事件があまりにも有名ですが、もちろん昭和55年に無罪が確定しています。作風としては、青春映画風の作品が得意だったように思います。ということで、ロマンポルノは監督、スタッフ、そして出演者に素晴らしい才能をもった新人を多数起用して、その存在を世に知らしめた意義があったという、これもその中のひとつという作品です。