大野一雄は60年代末から70年代にかけて、16ミリ映画を3部自主製作している。また、94年から始めた、大野一雄全作品上演計画は、ベータカムカメラで収録してきた。一方、NHKは85年の「死海」初演より、芸術劇場や報道番組でたびたび取り上げてきている。研究所とNHKの所有する100時間を超える映像資源に加えて、ダニエル・シュミットから贈られたフィルム、2000年10月末の新撮16ミリ素材などから、110分のビデオ/DVDを編集した。だから、踊りだけでなく、インタビューや手書きの舞踏譜の映像もはいっている。そういう全部が大野一雄にあっては踊りの世界そのものである。ナマの代わりに映像を見るのではなく、ナマでは絶対に見られないものが映像だから見られる。残像まで掬い取って見届けたい。何となく見て終わりじゃない。同時代に生きる特権として、なんとしても伝えたい映像を集成した。アルヘンチーナ舞踊映像 1936年/1929年大野一雄はスペインの女性舞踊家ラ・アルへンチーナの舞台に出会う。大野一雄を語るに欠かせない彼女の舞踊映像を収録。「バラ色ダンス」1965年(土方巽作品)映画「O氏の肖像」1969年「O氏の曼陀羅」1971年「O氏の死者の書」1975年「ラ・アルへンチーナ頌」1977/1994年/大野一雄の代表作。ここでは1977年の貴重な初演映像から、その華々しいオープニングを飾った「ディヴィーヌ抄」「日常の糧」「天と地の結婚」を収録。自身が“最高の踊り”と自賛する「鳥」は、77/94年の両ヴァージョンを収める。「お膳」1980年・リハーサル風景「死海~ウインナー・ワルツと幽霊」1985年「花鳥風月」1991年ダニエル・シュミット撮影映像 1995年ダニエル・シュミットが映画「書かれた顔」のために撮影した本編未収録映像。「わたしのお母さん」1995、1998年/もう一つの代表作。お膳で踊る「母の夢」、お母さんの遺言についてのインタヴューと「鰈のダンス」、そして「愛の夢」を収録。幼稚園のクリスマス会:サンタクロースの大野一雄 1999年「宇宙の花」 2000年(リハーサル風景)2000年・94歳 稽古場の踊り 2000年10月28日、大野一雄が94歳の誕生日を迎えた翌日に16mmフィルムで撮影。撮影の後、研究生や知人たちが集まっての誕生パーティーが開かれた。