今年12月に生誕110年・没後50年を迎える映画監督の小津安二郎。その最高傑作と称される「東京物語」が2012年、英国映画協会が行った「映画監督が選ぶ世界の映画NO1」に輝いた。小津映画は、今もなぜ世界の人々を惹きつけるのか?今年7月、小津監督と脚本家野田高梧との脚本執筆の日々を綴った「蓼科日記」が刊行された。派手なシーンもなく淡々と家族の物語を描く「小津調」の作品がどのように編み出されたのか、その創作のプロセスに迫る。また、「東京物語」「秋刀魚の味」「秋日和」などに出演した司葉子、岡田茉莉子、香川京子という往年の名女優や、吉田喜重、篠田正浩など当時の助監督たちに、小津作品の魅力を聞いていく。さらに、松竹大船撮影所の美術デザインを新たな視点で見つめることで、日本映画の黄金期といわれた撮影所のスタジオシステムが生んだ集団芸術の素晴らしさと、現代につながる普遍的な映画の味わいを再発見する。番組では、小津監督ゆかりの人々の証言や本人の日記などを手掛かりに、いまなお世界で広く見られている小津作品独自の映像世界の魅力を浮き彫りにしていく。