中村彩美(杉咲花)は学校から帰ると毎日、認知症の祖母・幸子(草笛光子)の世話をする、いまどき珍しいほど家族思いの高校生。幸子は最近、若い頃の記憶に立ち戻ってしまうことが多く、自宅を抜け出して徘徊することも増え、彩美は心を痛めていた。一方、彩美の隣の席の同級生・宮原和哉(小関裕太)は幼い頃から“汚れること”を恐れ、その潔癖さが原因で小学校でイジメを受けた過去を持っていた。今ではたいがいのものに抵抗なく触ることができるが、依然、人と肌を接触させることだけはできず、ひそかに思いを寄せる彩美の手が少し触れただけでも過剰に反応してしまうのだった…。ある日の放課後、和哉は神社の林で無心に穴を掘っている幸子に出会う。和哉のことを亡き夫・忠信と思いこんだ幸子に手を握られて狼狽するが、そのショックも最初だけだった。幸子と手を繋ぐことができたおかげで、和哉は人とのふれ合いを恐れる気持ちが薄れている自分を実感する。幸子を探しにやって来た彩美もまた、久しぶりに笑みを浮かべた祖母の顔を見てうれしく、また忠信として幸子に会ってほしいと和哉に頼む。しかし、なぜ幸子は神社で穴を掘っていたのだろうか…。その行動が過去の出来事と関係があるようだと知った彩美と和哉は、幸子の妹・根岸京子(草村礼子)を訪ねる。京子によると、戦時中、金属類回収令から母の形見のペンダントを守るため、姉妹と忠信の3人で、神社の林にそれを埋めたことがあったという。幸子にとってペンダントは母の形見であり、忠信との大事な思い出の品でもあったのだ…。京子から借り受けたペンダントを渡そうと、幸子と会う和哉。だが、幸子は和哉を亡夫と勘違いするどころか、見知らぬ人間として恐れてしまう。それ以来、和哉と彩美の仲は、微妙にすれ違っていき…!? そんな中、和哉の前に、かつて自分をいじめた小学校時代の同級生・深田健介(山田裕貴)が現れて…!?