上村一夫の同名マンガ原作の完全映画化。主演はCMモデルで人気に博した三浦リカ。「あんな娘がいいな。お嫁さんにいいな」と若者たちが憧れるサチコ。それは新宿二丁目の天使─。「同棲時代」の上村一夫原作「サチコの幸」(双葉社刊)は、焼け跡の新宿に咲いた一輪の花サチコの哀愁の青春を描いて若者たちの注目を浴びた。主演は三浦リカ。監督は抒情派の武田一成。【ストーリー】昭和26年ごろの新宿二丁目にこんな可愛い天使のような娘がいた。サチコ(三浦リカ)はつらい淋しい日々の中で“いいえ、今にきっといいことがある"と自らにいいきかせて生きていた。親に捨てられたユミコ(泉じゅん)、ジョージという進駐軍に惚れ抜いているヨシコ(永島暎子)、モモエ(悠木千帆)、みずえ(絵沢萠子)、皆一つの店で精一杯生きていた。その夜も中年男の中田(鈴木ヒロミツ)、酔っ払い、早稲田の学生など、サチコの稼ぎは2000円。そんな所へ、母に会いにきたと武彦という青年があがって来た。武彦はただ壁に向かって立っていた。「ボクの母さんはここの女将さんなんです」サチコの肝いりで武彦に向かいあった女将は、武彦を知らぬ存ぜぬで厳しく追い返そうとした。サチコの部屋で、武彦はただ絶望的に泣き伏した。サチコの哀れな武彦を温かく抱きしめるのだった─。