1961年(昭和36年)に三重県名張市で行った「名張毒ぶどう酒事件」の犯人として投獄され、無実を訴え続けている奥村勝死刑囚の半生を描いたドラマ。昭和36年、三重県名張市の葛尾村で、ぶどう酒を飲んだ女性15人が倒れ、そのうち5人が死亡する事件が発生。村で農業を営む奥村勝も妻が犠牲になるが、警察は「妻と三角関係にあった女性をまとめて毒殺する計画だった」として奥村を逮捕する。奥村は一度は犯行を自白するものの「警察に自白を強要された」と主張して一審で無罪判決。しかし、二審で死刑判決となり、昭和47年に最高裁で死刑が確定。戦後唯一の無罪からの逆転死刑判決となる。いつ訪れるか分らない刑執行におびえ、事件から50年以上にわたり再審請求を繰り返している奥村の孤独や恐怖を描き出していく。主人公の奥村役に仲代達矢、息子の無罪を信じ続ける母タツノ役に樹木希林。「平成ジレンマ」「死刑弁護人」などの司法ドキュメンタリーを多数送り出した東海テレビの製作陣が手がけた。