大島弓子の原作コミックを小中和哉監督が映画化した作品。ごく普通の女子高生が突然の事故で幽霊になり、天国の門から現世を訪問し、自分が死んだ後の周囲のリアクションを観察しては楽しむ。そんな彼女に先輩幽霊の青年は、「早く生き返りなさい」と忠告する。主人公の少女には、当時17歳の中島朋子が扮しており、その美少女ぶりは眩しいばかり。小中監督の演出は少女の感性を全面的に肯定したスタイルで、中島のちょっとした仕草やリアクションを、崇めるような視点で捉えているあたりが印象的。また小中監督は「かつてのNHK少年ドラマのような雰囲気」を目指してこの不思議なファンタジー映画に挑んだ。少年の持つ繊細さと優しさ、少女の行動力が息づいた作品になっており、最初は気恥ずかしさを感じるものの、その懸命さに引き込まれていくのは、当時24歳という年齢だった小中監督の若さ故か。(斉藤守彦)