19世紀後半のロシア。首都・ペテルスブルグへ向かう列車の中で、ラゴージンとムイシュキン公爵は出会った。ラゴージンは亡くなった父親の莫大な財産を手にするため生家へ戻る途中、ムイシュキンは持病の癲癇の療養のため滞在していたスイスから四年ぶりに祖国へ帰る途中であった。野生的で荒々しい気質の持ち主であるラゴージンと、物静かで純粋なムイシュキン。この対照的な2人の間に不思議な友情が芽生えてゆく。ペテルスブルグへ到着した2人の前にナスターシャという不幸な過去を背負う女性が現われる。その苛酷な半生は彼女を、退廃したサロンで男たちの心を一身に集める美貌と才知を備えた女性に育て上げていた。″女王″のように振る舞う彼女の虜となったラゴージンは、彼女を金の力で買い取ろうとする。ムイシュキンは彼女の美しさに隠された苦悩を、我がことのように感じ取り求婚する。彼の純粋な愛を受け入れながらも、そのあまりにも無垢な魂を傷つけることを恐れたナスターシャは、結婚式の当日ラゴージンのもとに走ってしまう。ムイシュキンはようやくラゴージンを見つけだし彼の家へ。そこでムイシュキンはベットに横たわるナスターシャの美しい屍に出会う。