浅見家に“富山売薬”の梶川尋助(山本圭)がやって来た。旅雑誌「旅と歴史」から“富山の売薬さん”の特集記事を依頼されていた光彦(速水もこみち)は梶川への同行取材を頼み込む。富山へと取材の旅に出向いた光彦は、まずは漢方薬の専門知識を学ぶため、富山薬科大学の准教授・高津雅志(葛山信吾)を訪ねる。そこで、高津が優秀な医師であり、東京中央薬科大学の学長の娘婿となることを知った。梶川と合流し漁師町を一緒に巡った光彦は、梶川が売薬さんとしてどこの家族からも歓迎されていることに驚く。それは確固たる薬の知識と長年に渡って築き上げた信頼によるものだ。しかし、金沢で偶然会った和泉冴子(三浦理恵子)だけが梶川にそっけない態度をとった。懐かしそうに声をかける梶川に対して、人違いだと言う冴子。腑に落ちない梶川の視線の先には、幹瀬由起仁(黄川田将也)と恋人同士のように映る2人の姿があった。その後、舞鶴の旅館で人に会うと光彦に言い出かけた梶川が撲殺され帰らぬ人となり発見された。警察に駆けつけた梶川の孫娘・優子(渋谷飛鳥)と出会った光彦は殺人事件の謎を追うことになる。警察の調べで、梶川を呼び出したと思われる人物が、夜7時に舞鶴市内の公衆電話から梶川の携帯電話に連絡していることが分かった。その人物は冴子なのか?少しでも情報が欲しい光彦と優子は、大陸からの引揚者だった梶川の手がかりを求めて舞鶴港にある引揚桟橋へと向かう。そこで二人は、訃報を聞き駆けつけた雪江(佐久間良子)と出くわした。光彦と雪江は、金沢で開かれている加賀友禅の大家、幹瀬丈一郎(綿引勝彦)の個展に立ち寄り、偶然にも冴子と再会した。しかし、光彦が大きなヒントを掴むと同時に、第2の殺人事件が起こってしまう。謎は蜃気楼のように幻と消えてしまうのか? はたまたこの悲劇の結末を光彦は紐解くことができるのか?