漁が盛んだった小さな村は、工場が建ったことで汚染し、漁師たちは工場長・野嶋に吸収された。一時は活気にあふれた村だが、今は再び閑散としている。夏陽は浜辺で男に荒々しく犯される。だが、彼女は抵抗しなかった。突然襲った素性も分からぬ男を連れ帰り、食事を与える夏陽。男・直也は佐武郎に酷似していた。不自然な彼女の対応に、直也は腑に落ちずにいたが、彼女も訳ありだと感じていた。そこへ野嶋が訪ねてきた。夏陽は直也を押入れに隠した、野嶋はいつものように夏陽の身内を嘲笑う言葉を吐き、彼女の手に身体を伸ばしたが、思い切り殴打され、渋々帰っていった。翌日の早朝、ふたりは出会った海にいた。夏陽は自身の過去を語り始めた。漁師の父・鉄は誰よりもこの村を愛し、母・香澄は明るく家庭を支える優しい人物。両親に誇りを持ち生きてきた娘・夏陽は、二十歳を過ぎ佐武郎という婚約者がいた。佐武郎は夏陽の両親が大好きだった。自分達の将来を重ねて見ていた彼に夫婦仲を褒められ、照れくさそうな鉄は、そんな彼に娘の将来を託すことにした。家族の仲睦まじい光景、それが永遠に続くと思っていた夏陽。しかし、政治家の弟を持つ野嶋が、弟の政策で村を工場街にする計画を強行する。鉄は村を代表し反対運動をはじめ、香澄も婦人会でそれを訴え続ける。だが、そんな彼らをつけ狙う影が…。