太陽がすばやく巡る星、有る朝、老人は少女になっていた。加齢と事故ですっかり動かなくなっていた管だらけのからだが、一日目は腕、二日目は上半身、と、若々しくつやめいて、軽やかに動き始める。三日目、全身を操って少女は、踊り始める。老人は、朦朧とした意識の中、毎日ベッドで思っていた。もしもこの世界に愛が本当にあるのなら、もうそれが、手に入らない人生だということなのだろう。「ああ、せめてこの頬を、一度でも掠めたがっただろうか?」一方で、老人の娘は、中年になってようやく同性の恋人と堂々と手を繋いで外を歩くようになる。かつて老人の前では隠していたが、今はもう、理解されることも、許されることも、やわらかに諦めた。娘と恋人は、5次元に流れる愛というエネルギーについて、やわらかに言葉を交わし続ける。「重力が、この星の愛だとしたら。」 「わたし、この星を拒絶する。」