「飢餓海峡」「血槍富士」などで知られる巨匠・内田吐夢の遺作となった作品。代表作の「宮本武蔵・五部作」のあとに作られた、宮本武蔵・番外編という感じで、武蔵とくさりガマの名手、宍戸梅軒の死闘をたたみかけるようなスピードで描いた作品。もう以前のように大作を撮れなくなった内田吐夢が、低予算ながらもその力を発揮し、一般的なチャンバラ時代劇の枠には収まらないような特異な作品を作り上げ、高い評価を得た。チャンバラそのものよりも戦う男の気迫と哲学を描いた内容で、5部作に展開された武蔵の生きざまが凝縮されたような迫力。