尼僧・浄安が庵主を務める愛徳院は山間の町にあり、そこにはある奇祭があった。愛徳院の尼僧が年に一度町に降りてきて、年男に夜這いをかける。そして、尼僧を法悦の境地に導いてやることの出来た男は、その年一年ありとあらゆる運を授かるという。その奇祭・卍祭が明日の夜に迫っていた。今年年男の伸彦の家では妻の鈴子がなんとしても卍祭に来てもらい、金運を授けて欲しいと、伸彦に精のつくものを食べさせていた。年男である町の青年・翼は同じ居酒屋にいた男が話すその話を信じることができなかった。すると、男は去年の卍祭に夜這いをかけられたのは自分だと、自身の体験を話し始めた。一方、翼に密かな思いを寄せるあずみは、卍祭のことを知りたくて浄安を訪ねた。浄安は祭りの起源を彼女に語り…。