今中国のモノ作りに激変が起きている。安い労働力を武器にした従来の労働集約型産業が限界を迎えているのだ。それが顕著なのが繊維・アパレル産業。売上高20兆円、関連企業が1万社を超える山東省青島では、工場がカンボジアなどアジアの国々へ次々と移転し始めた。山東省の繊維アパレルの貿易額は前年比5.4%減。人件費・原材料価格の上昇、人民元高という逆風の中、経営者たちが生き残りをかけて「海外脱出」を選択、さらに、工場用地の賃貸や誘致の紹介業など非「製造業」に向かう経営者も現れた。しかしそれは地元産業の空洞化を一気に進めることになる。中国アパレル産業を代表する山東省青島の経営者たちの苦悩と格闘に密着、揺らぐ「世界の工場」の現在を見つめる。