昭和30年代に、豪雪・貧困・多病多死の三重苦を乗り越え、全国に先駆けて老人医療費の無償化と乳児死亡率ゼロを達成した岩手県西和賀町(旧沢内村)は、合併した現在も、いのちを大切にするという「生命尊重の理念」を町是に掲げる、日本では稀有の品格と哲学を持った町です。「住民の生命を守るために、私の生命をかけよう」と宣言した当時の深沢晟雄村長と、住民が共に築き上げたその理念は、若い世代にも脈々と受け継がれています。本作品は、深沢晟雄旧沢内村長についての証言に始まり、その理念を受け継ぐ若い世代を映し出します。老人や障害者、そして、児童養護施設の子どもたちの生命に向き合いながら、地域に生きることを模索している西和賀町の人々の姿は、私たち日本人に、改めて本当に価値のあるものを教えてくれます。