太平洋戦争末期の沖縄で少年時代を過ごした作者・嶋津与志の視点による、現地の戦時中のできごとを綴った反戦児童書『かんからさんしん物語』を原作に、約78分の長編アニメ映画化した作品。タイトルの“かんからさんしん”とは沖縄の人々が心のよりどころとしていた、空き缶などでできている弦楽器・三線(さんしん)のこと。沖縄・津堅島(つけんじま)におしよせてきた戦争という名の大波。13歳になったばかりの少年マサは、戦地へ向かう父親から家宝の三線を預かり、必死に母と妹を守ろうとする。ついに津堅島へ米軍が上陸。洞窟にたてこもる3万もの日本兵たち、そしてマサたち十数万の民間人……。次第に食料も底を尽く中、日本兵に「全員玉砕」の命令が下る。だがその時、死んだと思ったマサのいとこユキが米軍の船から一同に制止を呼びかけた。これに応じてマサも三線を奏でる……。本作は反戦映画や環境作品などを多数手がけているシネマ・ワークの一作品。実制作はグループ・タックと亜細亜堂が担当し、監督は亜細亜堂の小林治が務めている。