あてどない修業の旅を続ける大島龍次に、恨みを持つ花岡興行は、人斬り稼業の根津三兄弟をさしむけた。さすがの龍次も三兄弟のあまりに執拗な攻撃に怒りを爆発させて三人を血まつりにあげた。それから数カ月、刑を終えて出所した龍次は、彼を待つ大島組には帰らず、再び旅修業に出発した。そして途中高市にたちよった龍次は、善良な商人をいじめぬいている瀬戸組代貸利助の非道ぶりにみかねて、商人たちをかばった。ところが、この利助の組長虎一は、龍次の亡き父庄三郎の舎弟分であった。そこで龍次はその足で瀬戸組を訪ね、今は病弱の身を床にふせる虎一親分と会い、利助の非道さを説いた、虎一もこれを納得し、龍次に高市の仕切りを頼んだ。龍次は公平な場割りで町を平和にもどすと、彼が殺した根津三兄弟の墓参に頼山寺を訪れた。寺には、彼を慕う子分辰と虎鮫が待ちうけていた。さらに龍次を慕う庄三郎の娘晴子もやってきた。しかし龍次は、そんな晴子の慕情をふり切って、寺の和尚から聞いた、根津兄弟の妹琴枝がいるという府中に向った。府中では町をとり仕切る安部組が非道の数々をつくし、さらに貧しさにあえぐ琴枝を借金の形に遊廓に売ろうとしていた。一方琴枝の後見人直次郎は安部の暴力にたまりかねて、親せきづき合いをしていた吉津組に助けを求めた。だが、ここにも安部組の手はまわり、直次郎はすげなく断られた。さらに安部はこの機会に眼の上のタンコブ直次郎を亡きものにしようと、兄弟分の間柄の村田きよの助力を求めた。きよは話し合いで事をうまくまるめようと大島組を率いて府中に向った。そのころ安部は、龍次がいると聞いてかけつけた利助を加えてなぐりこみの機をねらっていた。事の大事を悟った龍次は、単身安部組になぐりこみ、安部を斬り、事の決着をつけると、また所をさだめぬさすらいの旅に出ていくのだった。